先輩の声
若手大工を育てようvol.04 「何でもできる大工になりたい」

取材日:2025/01/30
三五工務店 安芸竜ノ介氏(2023年入社)
一途に「夢は大工」
安芸氏は小学校低学年の頃から、将来の夢は?と聞かれたら大工と答えていたそうだ。きっかけは覚えていない。身近な親類に大工がいたわけでもなかった。「多分、近所の建築現場で大工さんを見て、かっこいいと思ったんじゃないかな」と笑う。父と一緒に棚や台を作るのも好きだった。
生まれは旭川市で、高校は迷わず旭川工業高校建築科を選んだ。卒業後はすぐ大工として働こうと思っていたが、母から「就職するのに、もうワンクッション置いたら」とアドバイスされ、大工を養成する旭川高等技術専門学院(技専)建築学科に進学した。「高校は大工より現場監督になるための授業が多かったから、技専で学べたのは良かった」と振り返る。
就職した三五工務店は、パンフレットを見て興味を惹かれた。住宅だけでなく木造の商業施設を建てたり、カフェを運営したり、さまざまなことを手掛けているのが面白そうと思った。
入社してからずっと植村鉄男棟梁の元で仕事を覚えてきた。「厳しいことを言ってもらえるから、できるようになる」と全幅の信頼を置いている。
また、(一社)北海道ビルダーズ協会によるポリテクセンター北海道の新人大工育成プログラム(3年間)の研修を受け、今年4月から最終年度に入る。「電気設備の工事など普段の現場にはない実技があり、視野が広がった」と安芸氏。他の工務店に勤める同年代の友人もでき、励みになっている。
将来は「臨機応変に何でもできる大工になりたい」と話す。1歳になる娘がおり、自分の手で家族のための家を建てるのも大きな目標だ。
社内で育成する
植村氏は大工暦41年のベテラン棟梁。現在、三五工務店には安芸氏の他に入社3年目と4年目の若手大工がいて、合わせて3人の指導にあたっている。 同社の社員になったのは、安芸氏と同じ2年前のこと。当時、社員大工は若手の2人だけで、指導は社外の一人親方に依頼するという状況だった。
植村氏は年齢が離れた若手3人を一度に見るのは大変と言いながら、「次のステップを考えて仕事をさせる」と一人ひとりに目を向けている。言われなくても自分で気付いてできるようになり、「信頼される大工になってほしい」と希望する。
社内で育成できる体制づくりが必要と感じており、自身と若手の間に中間の年代がいたら「コミュニケーションがもっと取りやすくなり、役割分担ができていい」と話す。
同社は大工の社員雇用を続けており、今年4月にも新卒一人が入社する予定になっている。若手大工の育成に今後も力を注いでいく。