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過去最多110人参加で技競う  第5回北海道削ろう会交流大会

大工ネットワーク北海道(船田慎人代表)は6月29日、「第5回北海道削ろう会交流大会」を岩見沢市内で開催した。(一社)北海道ビルダーズ協会(武部豊樹、菊澤里志代表理事)との共催。 削ろう会は、かんながけの技術を通して大工技術の向上や職人同士の交流、道内の新人大工の育成のための仲間づくりなどを図るイベント。今大会は一般の部60人、学生の部50人の計110人が参加し、同大会としては初めて100人を超えた。

学生の参加者数も過去最多で、札幌、旭川、釧路の各高等技術専門学院、札幌工業高校、旭川工業高校、岩見沢緑陵高等学校など道内各地からの参加となった。
開会式では、大工ネットワーク北海道の船田代表があいさつに立ち、「大工職人の減少が危惧される昨今にあって、学生の参加者が増えていることは大変喜ばしい。また、一般参加者もみんなで交流を深め、楽しい時間を過ごしてほしい」と述べた。続いて、今年1月に発生した能登半島地震への木造応急仮設住宅の施工応援で派遣された大工職人たちが紹介された。丸三ホクシン建設(石狩市)と武部建設(岩見沢市)の2社から14人が登壇すると会場は拍手に包まれた。

大会は、予選上位5人が決勝戦へと進み、持ち時間3分の中でかんながけの薄削りを行い、納得の一枚を3回計測して競われる。予選はトドマツ・エゾマツ・スプルースのいずれかを選んで使用。決勝は一般の部はヒノキ材、学生の部は青森ヒバ材がそれぞれ使用された。
一般の部は、スキル(札幌市)の玉城一平氏(記録合計47ミクロン)が優勝。学生の部は、釧路高等技術専門学院2年生の酒井元気さん(記録合計44ミクロン)が優勝した。

長年柔道をやっていたので大会の緊張感には慣れていたという酒井さん。「落ち着いて決勝戦を戦えたのが良かったのかもしれない。いい報告を持って帰れて嬉しい」と喜びを語った。また、酒井さんは手刻みの仕事が好きで、就職先として大工職人の技能に力を入れている会社を探している中で、以前から武部建設に興味を持っていたそうだ。酒井さんからその話を聞いていた同校職業訓練専門員の平田将之氏は、削ろう会のお知らせを見て大会の運営に武部建設が関わっていることを知り、酒井さんに伝えた。「それで急きょ二人で参加することになった」という。

 

学生の部優勝の酒井元気さん

 

今大会は初の試みとして、「岩見沢プレーパーク」に同日の開催を呼びかけた。岩見沢プレーパーク研究会が主催する児童向け遊び体験学習イベントで、遊びを通じて子どもの生きる力を育むことを目指している。大会会場横の広場にブースを併設し、児童らは遊具やミニプールで遊んだり、廃木材を使った工作を楽しんだりした。
児童はそのまま削ろう会にも自由に参加し、体験かんながけや、削り花工作にチャレンジした。削ろう会参加選手の真剣な様子を興味深げに見つめる児童の姿も見られた。

ビルダーズ協会の武部氏は、プレーパークとの同時開催について「昔は大工職人が仕事をしている様子はいろんな所で見られたが、今は仮囲いに覆われて直接見る機会はほとんどない。子どもたちに少しでも大工とその技に触れる機会をつくれたら」と意義を語った。また、今大会について「どんな技も次の世代がなければ残らない。今後も、今回のように多くの学生や若者に参加してもらい建築業界全体の活性化につなげていきたい」と話した。