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「子ども工務店」で技能を体験

建設業界の職人不足が深刻化する中、将来の人材確保につなげようと、子どもたちに専門職の技能を実体験してもらうイベント「クリエイティブパーク・子ども工務店」が9月15日、伊達市の「だて歴史の杜カルチャーセンター」で開かれた。主催したのは須藤建設(伊達市、須藤正之社長)の協力業者会で組織する実行委員会。伊達市と伊達市教育委員会が共催し、市内の小学校などにチラシを配布した。技能体験に参加した子どもの数は353人、保護者を含め約700人が来場する一大イベントとなった。

未来の棟梁たち

会場には屋内に大工、電気工作、パイプ接続、建具など、屋外でもクレーンやショベルカーなど合わせて16職種の専門工事業者が出展。それぞれの体験コーナーに多くの子どもたちが順番待ちの列を作った。

午後からは屋外で「小屋組み体験」が行われ、未来の棟梁たちがプロの指導を受けながら金づちで釘を打つ真剣な姿に、保護者が一斉にスマートフォンのカメラを向けていた。最後にやぐらの上から餅を撒く「上棟式」が行われた。

このイベントは同社が数年前に企画したが、コロナ禍で延期になっていた。須藤社長は「1回目なので不安要素もあったが、来場者の皆さんには喜んでいただけたと思う」と手ごたえを実感していた。

 

小さな手で大きな槌音

 

協力業者の技能の認知度アップ

大手建設会社と違って地域に密着した建設会社にとって、協力業者の人材確保は自社の業績拡大に不可欠な要因といえる。しかし専門職種は新卒採用が少なく、知人の紹介や血縁関係に頼らざるを得ないのが実情だ。

須藤社長は「当社のような元請会社の名前は知っていても、専門職種の技能や職人のことはあまり知られていない」と、須藤建設の社名は会場に表示せず、協力業者の技能の認知度アップに努めた。

「子どもたちの体験がものづくりの楽しさにつながり、建設業を将来の職業の選択肢に加えてもらいたい」イベントは来年以降も継続する予定で、将来は伊達市建設協会に加盟している建設業者にも参加を呼び掛けるという。

 

最後は餅撒きで「上棟式」