先輩の声

若手大工を育てよう vol.02「できた時の達成感がものすごくある」

親の家を建てたい

キクザワ(恵庭市)に入社して3年目の大山文也氏(写真左)。ものづくりが好きで、いつの頃からか「両親に家を建ててあげたい」と思うようになったという大山氏。高校は普通科だったが、3年時に進路を考えるにあたって「家作りや大工に興味がある」と先生に打ち明けた。すると、キクザワの会社説明会に参加してみてはと薦められた。

行ってみると家を建てている途中の建築現場に案内され、大山氏は雰囲気がいいなと思ったそうだ。現役の大工がいて、話し方が優しかった。みんな明るくて、大工同士の仲も良さそうだった。 説明会で同社の菊澤里志社長から「大工になるなら、まず技専に行って基礎を学んだ方がいい」と言われ、気持ちが固まった。

高校卒業後、木造建築の技術者を養成する札幌高等技術専門学院(技専)建築技術科に進学。2年間学び、インターンシップを経験してから同社に入社した。 「入ってからも現場の印象は変わらなかった」と大山氏。頼もしい先輩大工に囲まれ、「3年目になりますが、ずっと大工を続けていこうと思えるのは社内のつながりも大きい」と話す。

棟梁の梶田京冶氏(写真右)に教わり、仕事を覚える毎日。できなかったことができるようになった瞬間、「自分が成長しているんだなと達成感がすごくある」とやりがいを感じている。将来の目標は、やはり棟梁になって両親の家を建てることだ。

 

頼られる人になる

現場は大工が二人ずつチームを組んで担当する。新人の大山氏と組んだ梶田氏は30歳の中堅。9年前に転職して左官工から大工になった。

梶田氏が若手の育成で心がけているのは、「考えさせること」という。やってと言われたことだけをしていると成長につながらない。 大山氏に対して、「この人なら任せて大丈夫と頼られる人になってほしい」と希望する。頼られる人とは、施工側の意見を求められた時にしっかり答えられる人、さらに何パターンかのアドバイスを出せる人だ。

「そういう大工になるためには、やっぱり日々自分で考えることが大事」と梶田氏。 大工という職業について、「家はその家族の命を守るのはもちろんだし、この先何十年かその人たちの人生がすべて寄り添っていくもの」と話し、「だから家を作った時の達成感は大きく、大工じゃないと味わえないと思っている」とやりがいを笑顔で語った。