多田工務店(江別市、夛田勉社長)はこのほど、貼り付けて簡単に施工できる太陽光発電パネルを社屋の壁面に設置した。使用したのはシルファインジャパン(福岡県神宮町)の「FINE―FLEX(ファインフレックス)」。
厚さが約3㎜で、シリコンモジュールでありながら曲面に貼ることができる。また、モジュール1枚あたりの重さが約5㎏と軽量。設置にあたっては架台を使用せず、専用の接着剤で支持体にじかに貼り付けて固定する。
具体的な施工方法や使用する接着テープ、接着剤などは特許のため公開されていない。施工業者はシルファインと秘密保持契約を結び、施工業者研修を受けてメーカー認定企業となる必要がある。
従来の架台を使用したパネル設置では、屋根や壁の塗装メンテナンス時に、架台下の空間を塗るために一度パネルを取り外す必要があり、塗装業者だけでは対応が難しい。しかし、接着剤で屋根面や壁面に直接貼り付けてあればパネルの下に塗装の必要はない。
夛田社長は、「片手で持ち上げられるほど軽いから従来のパネルと比較して施工しやすさが格段に向上する」という。体感では「作業の手間が半分くらいになる」と強調。単価がもっと安いものはあるが、「施工コストも含めて考えると大きなメリットがある」と話した。実際に、今回の社屋の施工では、1枚の大きさが1945㎜×780㎜のモジュール19枚を、2階の高さほどの壁面に取り付けたが、自社の大工二人で6時間ほどで施工できたという。
これまで同社は太陽光発電パネルの設置工事を手掛けていなかったが、今後は自社施工を開始する予定で、それに先駆けた社内での施工方法の研修と太陽光発電のデータ実測のために取り付けた。夛田社長は「使ったこともないものをお客様に勧めるわけにはいかない。まずどんなものか、把握してから使用する」と強調した。
ある工務店社長は、「接着剤の劣化は、実際の10年20年といった長期間でのデータがまだない以上、慎重にならざるを得ない」と提起。そのうえで、「半円状の外壁に効率よく貼るなど、設計上の必要性によって使い分けることは考えられる」と利点をあげた。
夛田社長は今後について、同パネルに加えて容量10kWhの蓄電池も社屋に導入するといい、「ソーラーシステムのモデルとして、お客様に見学してもらえるようにもしていきたい」と話した。