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第1回SDGs住宅賞に藤城建設

(一財)住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)はこのほど、第1回SDGs住宅賞(旧サステナブル住宅賞)の結果を発表した。本道関係では唯一、藤城建設(札幌市)の「ノースランドプライド~北海道ソーラーハウス」が(一社)日本木造住宅産業協会会長賞を受賞した。

住宅の計画、生産、運用、廃棄まですべての段階でSDGsの達成に貢献する優れた取組みについて、設計者、施工者、建築主(居住者)を表彰する賞。1992年に省エネルギー住宅賞としてスタートし、2年おきに選考が行われている。06年度からサステナブル住宅賞に、さらに今回、23年度からSDGs住宅賞に名前を変えて16回目の実施となった。

藤城建設は18年の第8回サステナブル住宅賞で同じ(一社)日本木造住宅産業協会会長賞を受賞しており、コロナ禍の延期を挟んで5年ぶり2回目の受賞。

今回受賞した「ノースランドプライド」は19年に当時の同社のSDGsに対する考えを結集させたモデルハウスとして建築した。その前年に本道で発生した胆振東部地震の教訓から、「真冬でも自家発電してエネルギー自立可能な家」として、太陽光発電パネルを屋根に9.38kW、壁面に6.4kW分設置。さらに5.6kWhの蓄電池とV2Hを備え、災害時のレジリエンス性と平常時の省エネ性を高めた。

再エネだけでなく、SDGsが目指す持続可能な社会に向けてあらゆる面からできることを考えた。人口減少社会を見据え、大工職人不足に対応するため、道内のプレカット工場やツーバイフォーパネル工場と連携して大型パネル工法を実証施工。また、1階外壁には道南杉の木外装を無塗装で使用し、生産から廃棄までの環境負荷の低減を目指した。

モデルハウスとして1年間、発電量と温湿度測定を行った後、現在は一般住宅としてオーナーが入居しているが、データの計測は継続し、実生活で運用したエネルギー収支や温熱環境のエビデンスとして蓄積している。

藤城英明社長は「この住宅でエビデンスをしっかり集め、冬の間も壁面の発電だけで電力を賄えることがわかった。そこからその後の方向性が固まった」と振り返る。設計を担当した川内玄太常務は「当時やれることをすべて詰め込んだモデルだった。SDGs住宅賞という象徴的な名前に変わった第1回で受賞できたことは個人的にすごく感慨深い」と受賞の喜びを語った。