元気な工務店

女性目線で収納と生活導線を計画

釧路市幸町の住まいるハウジングのコンセプトは、「HAPPYワクワクな家づくり」。2014年の設立以来、住宅性能やデザイン性に加え、カスタマイズ収納や導線重視の間取りなど、楽しく暮らせる機能的な注文住宅を手掛けている。この夏からは釧路市緑ケ岡において、同社の住宅づくりの集大成とも言えるモデルハウス「住まいるスタジオ」をロングランで公開。長谷川伸社長へのインタビューから、魅力的な住宅づくりの創意工夫に迫る。

 

8期連続の黒字で成長中

長谷川社長は、根室管内別海町出身。札幌のコンピューター系専門学校を卒業後、東日本ハウス(現日本ハウスホールディングス)に就職し、住宅営業のイロハを学ぶ。祖父や父が大工をしていたこともあり、小さな頃から不動産や建築に興味があったという。その後、親戚の工務店に転職し、現場から住宅づくりの知識やノウハウを習得する。10年以上勤めた後、会社の事情で辞めることになり、14年に設立したのが住まいるハウジングである。

会社登記までわずかな準備期間ではあったが、「長谷川さんじゃなきゃダメと言ってくれるお客様や応援してくれる人がいたため、独立へと踏み切った」という。人が人をつなぎ、OB客の紹介で受注が増加。社長の手帳には感謝をしている人の名前が書き留めてあり、その中には、プロとしてのこだわりを教えてくれたアイスホッケーチーム・クレインズの元監督の名前もある。

現在、8期連続で黒字経営を続け、毎年売上が伸びている状況。一人で始めた会社も社員数5人に増えた。とくに小野寺朋子コーディネーターと4~5年前からタッグを組むようになり、同社の特徴的な住宅づくりが確立する。

モデルハウス外観

女性目線を生かした内装

小野寺氏は、TOTOのショールームアドバイザーだった経歴を持つ。事務のパートとして入社した後、インテリアコーディネーターやアドバイザーとして住宅づくりに関わるようになった。長谷川社長が図面を引き、小野寺氏が内装などを担当する役割分担で特徴的な家づくりが進む。ピンタレストやインスタグラムに女性目線の住宅に関する投稿が増えてきたこともあり、子育て世代の女性にも共感を得られやすい。

同社では、顧客一人ひとりの要望に耳を傾け、住宅性能はもちろん、内装のカラーリングや質感、家事がしやすく、子どもが動きやすい導線の間取りなどを提案する。その集大成を体感できるのが今回のモデルハウスである。
子どものいる4人家族を想定して作られたモデルハウスは、木造2階建。工法は国土交通大臣認定取得のHSフレームシステム。断熱は高性能グラスウール24㎏/㎥相当と湿式外張り断熱工法のビオシェルを組み合わせたW断熱。UA値は0・28W/㎡Kで、国が10月に新設した上位の断熱等級6に相当する。省エネ機器としてガスマイホーム発電コレモとエコジョーズを採用した。この基本性能のうえに考え抜かれた住空間がある。

女性目線を生かした内装

楽で楽しい住空間を実現

玄関には大きめの姿見があり、ゲストから見えにくい場所にシューズラックとコート掛けがある。すぐに手が洗えるセカンド洗面と浴室、ガス衣類乾燥機の体験コーナー、ウォークインクローゼットを抜けて、洗面所とトイレがあり、13.5畳のリビングへと生活導線が続く。

キッチンは家族の顔が見えるよう、キッチンハウスの対面型アイランドユニットを設置。2階に続く階段下のスペースは畳調の子ども用ヌック(隠れ家のような小空間)で、ボルダリング設備もある。2階には子ども部屋と寝室が用意されている。

全体的にライトグレーの色調と木目を基本とした内装は、縦長の窓や吹き抜けの効果もあり明るく感じる。パナソニックのパールグレーのドアの色をベースにしたと小野寺氏は話す。

スタディスペースや書籍ニッチ、壁面や鏡の裏を使った見えない収納などワクワクする仕掛けが多い。また、クローゼットには既製品の収納商品を使ってコストダウンを図り、家主が自分でカスタマイズできる柔軟性がある。同社の家づくりへのこだわりと想いが詰まった、自信作のモデルハウスは来年3月中頃まで公開。

階段下の子ども用ヌック