先輩の声

若手大工を育てようvol.1「技術があり、身体を動かす仕事がいい」

刻みが好きを実感

水谷氏が大工を職業にしようと考え始めたのは中学生の時だった。身近に大工がいたわけでも、何かきっかけがあったわけでもない。「技術があって、身体を動かす仕事がしたい」と漠然と思い、そこに大工という職業があてはまりそうだったからだ。
北海道札幌工業高等学校の建築科に進学し、札幌建築研究会という同好会に入った。実際の大工に教わるなど、そこでの活動が楽しく「将来は大工」と思いが定まった。
3年生になり、「ものづくり甲子園」とも呼ばれる「高校生ものづくりコンテスト北海道ブロック大会」の木材加工部門に学校から選抜され、2位の成績を収めたことも大工への思いを深めた。
就職にあたって「のみやかんなを使う木造建築の会社がいい」と希望した水谷氏に、学校は武部建設を薦めた。1週間のインターンシップの中で、「手刻み」を体験させてもらい、「やりたいことができる」と入社。インターンシップの経験が与えた影響は大きく、自分のような大工志望者を増やすためには「大工の仕事はおもしろいと、体験してもらうのが一番」と話す。

入社して2年間、新築住宅だけでなく、古民家の解体から再生まで現場を経験した。「やはり刻みが好き」と実感。将来の夢は、自分の家を手刻みで建てることだ。

 

若い世代の目線で

武部建設の武部豊樹社長は、水谷氏のことを「大工という仕事に対して、芯がぶれないところがいい」と評価する。同社は伝統的な大工技術を持つ大工の育成に取り組んでおり、目指す方向性が一緒でないと仕事が続かず、辞めてしまう。採用にあたっては、まずインターンシップで受け入れる。「ミスマッチを防ぎたいから」と武部社長は強調する。
新人大工は社員として雇用し、社会保険に加入。休日は基本的に土日祝だが、繁忙期は所定休日に出勤があり、賃金を割増で支払っている。
今年に入って、時間外労働の上限規制の開始もあり、社内に若手を中心とした業務改善委員会を設けた。「経営者と従業員の目線は違うし、若い人と年配者も違う」と武部社長。これまでも必要に応じて改善してきたが、今年も具体的な改善をしていかなければならない。ベテランの経験を生かしながらも次の世代に合わせることが、会社としても建築業界としても大切と語った。