元気な工務店
断熱と創エネは両輪

取材日:2024/03/15
北翔建設(登別市)
北翔建設(登別市)は1991年に創業。代表取締役は渡部勉氏。現在は息子の剛彰氏と二人三脚で営んでいる。木造軸組工法の戸建住宅の新築を中心に、リフォームや賃貸住宅、非住宅も手掛ける。注文住宅は全棟でBELS評価書によるZEH認定、適合判定ツールによるLCCM適合、長期優良住宅認定の三つを満たす。胆振管内でエネルギー消費を抑えた高性能住宅を提供し続けながら「特別なことはしていない」と笑う渡部社長に話を聞いた。
厳冬期に暖房なしで2日間
「常に自分の家を建てるつもりで取り組んでいる。お客様の身になって考えることが、結果的に利益につながる」と話す北翔建設(登別市)の渡部社長。
全棟で許容応力度計算による耐震等級3を確保。劣化対策や維持管理対策の基準も満たし、長期優良住宅の認定を取得する。
断熱仕様は、軸間に高性能グラスウール16K105㎜充填。付加断熱にも同210㎜。天井に吹込み用グラスウール400㎜。基礎の立ち上がりは、外側にビーズ法ポリスチレンフォーム150㎜、内側には押出法ポリスチレンフォーム50㎜、土間下にも同50㎜を使用。窓は標準でトリプルガラス樹脂サッシを採用している。

ZEH・LCCM・長期優良住宅のすべてを満たす
300㎜断熱が誕生
現在の「300㎜断熱」は2014年頃から標準仕様としている。 同社はもともと、ソトダン21に加盟し硬質ウレタンボード断熱材による外張り断熱工法を採用していた。 ある時、自社の物件で、外張り断熱に加えて軸間にグラスウール充填を試してみた。すると、工期は真冬だったが「大工職人が休憩中に昼寝するほど建物内が暖かくなった」。
手ごたえを感じた渡部氏は、外張り断熱とグラスウール充填のダブル断熱を採用。「グラスウールの追加程度ならコストが大きく上昇しないのも利点だった」と振り返る。 さらに断熱性能に対する要求が高まってくると、渡部氏は外張りのボードを二重にした。しかし、ボードの二重張りは材工共にコストが倍になってしまった。
そこでボードではなくグラスウールを二重に。「グラスウールなら、下地の取り付けは一回で済むので手間は倍とはならない」。グラスウールはボードに比べてコストも抑えられる。性能を維持して施工手間は省く。そこから現在まで続く形が生まれた。

吹き抜けが開放的な室内
省エネも創エネも
渡部氏は「外皮の性能向上に加え、設備機器による一次エネルギー消費量削減も大切になる」と考え、床下に寒冷地用エアコンを設置した全館空調システムを自社で設計し、導入している。
外気を第一種換気装置で熱交換して床下に取り込み、エアコンで暖めて1階床ガラリから放出。自社で許容応力度計算を行って基礎の構造を決めているため、暖まった空気が床下全体を循環して均一に上がるように設計できる。
また同社は、約20年前から太陽光発電パネルを採用してきた。 当初は売電が目的だったが、現在は自家消費が中心。屋根形状など条件によって異なるが、平均して10kW前後を目安に搭載する。高騰する電気料金を抑え、補助金を受けられる太陽光発電設備は、ユーザーに対して有利な営業材料になる。 2年前から蓄電池やV2Hも積極的に取り入れたいと考えている。
まだ価格が高いため蓄電池はオプション対応となるが、7kWhぐらいの容量を基本として太陽光発電の自家消費量を増やせば光熱費の削減効果が高い。 太陽光発電設備の設置は外注の経費をかけずに自社で施工する。また、部材の一括購入で仕入れ価格を抑えるため、PVソーラーハウス協会に加盟。自社でわからないこともサポートが受けられ、ノウハウが蓄積できる。
目標はオフグリッド
地場の不動産仲介業者とのネットワークでいい土地が手に入るため、昨今の新築不振の中でも安定した受注件数を維持しているが、影響はゼロではない。今後は、新築中心から中古戸建の買取再販、リノベーションにも注力したいと話す。 北海道では冬があるから難しいと前置きしつつも、渡部氏はオフグリッド住宅について展望を話してくれた。
同社が引き渡した住宅で今年の1月に、一瞬だけ停電してすぐ戻る、いわゆる瞬停が起きた。 この時実は床下の暖房用エアコンが停止していたが、家主は2日ほど気が付かなかったという。 渡部氏は「今年は暖冬気味とはいえ、現在の外皮性能は1~2日の停電であれば寒さをしのげることが実証された」と頷く。
1週間の停電でもエネルギー自給できる家が理想と話す渡部氏だが、「現状では蓄電池を複数置くか、EVを電池代わりに使う必要があり、まだ現実的ではない」とみている。 それでも情報収集は積極的に行っている。新潟県の先進的な省エネルギー住宅などもチェックし、オフグリッドに近い住宅を見学するため道外へも足を運んでいる。
