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ボールパークに道産材の商業施設

北海道ボールパークFビレッジに建設中である商業施設「THE LODGE(ザ・ロッジ)」の設計と施工を三五工務店(札幌市)が行う。同社の道産材を積極的に活用するコンセプトが目に留まり、北海道日本ハムファイターズから声が掛かった。
道産の素材をふんだんに使用し、四季の自然風景と調和するように設計を施したザ・ロッジには、特産品を販売するアンテナショップのほか、自然を楽しむアウトドアアクティビティやワークショップを体験できるテナントなどが入る予定。
三五工務店代表取締役の田中裕基氏は「三五工務店というより、北海道の工務店が設計と施工に関われたということが大切だと思っている。地場の工務店でこの経験を分かち合えたら」と語った。

 

道産素材で地域循環を

ザ・ロッジは、木造2階建、延床面積は982.92㎡。エスコンフィールドという主役の建物と周辺施設を中継するハブ的な立地。「周囲がよく見えるように窓の配置を工夫し、つなぎ役として違和感がないように設計した」と田中社長。 構造材は道産カラマツ集成材を使用し、エヌ・シー・エヌ(東京都)のSE構法を採用。三五工務店にとって同構法で建てるのは初の試みで、今年の5月から建設が進められている。
外壁材はハルキ(渡島管内森町)のハル壁と丸二北海煉瓦(江別市)の北海煉瓦を採用。「周囲の景観を損なうことがないように道産素材を使用し、自然と調和することを心がけた」と話した。
道産素材については「積極的に使っていけば周辺地域で循環が生まれる。もっと意識が浸透すれば」と熱意を語った。来年1月頃に竣工する予定。

 

「THE LODGE(ザ・ロッジ)」の完成イメージ図 提供:北海道日本ハムファイターズ

非住宅への取組み

資材高騰などの影響もあり、全道の1~5月の新設住宅着工戸数の累計は、前年同期と比較して12.9%減少している。田中社長は「今後ますます、新築住宅市場は厳しくなっていく」とみており、同社は近年非住宅事業の比率を徐々に高めている。
2016年には「35stock」というカフェをオープン。コンセプトやデザインに共感した顧客から非住宅物件を受注するケースが増えたそうだ。しかし、今回ほど大きな施設は初めて。
着工されてからは、3人の現場監督が現場に常駐し、ファイターズはもちろん、ザ・ロッジのテナント各社、北海道ボールパークの現場全体を取り仕切る大林組などと常に情報共有とすり合わせを行ってきた。
「こうした大規模な現場を仕切ったことがないスタッフばかりなので、すごく勉強になっていると思う」と田中社長。今後も大型の木造物件を受注していく上で今回の経験が重要な意味を持つ。
田中社長は「今後、街の再開発などで木造の施設が求められると思う。道産材への想いなどを理解してくださる方々と事業を展開できれば」と意気込みを語った。