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道内初 伊礼智氏のi–worksモデル

NPO法人パッシブシステム研究会(福島明理事長)は11月11日、辻野建設工業(石狩管内当別町)が「i-works project(アイワークスプロジェクト)」により当別町に建築したモデルハウスの見学会を開催した。
i-works projectは、建築家の伊礼智氏が設計したプランを全国各地の工務店がその土地に合わせて建てるプロジェクト。住まいのディテールを「標準化」することで、コストを抑えながら質の高い家づくりができる。道内では、同モデルハウスが初の試み。

北海道に合わせて

 

辻野建設工業は当別町で農的な暮らしを楽しむ「当別田園住宅」を提案し、パッシブ換気システムを導入した家づくりを行っている。同社の辻野浩社長は、そうしたナチュラルなライフスタイル提案と性能に合うデザインを考えていた時に伊礼氏の本に出会い、感銘を受けたという。また、「標準化の考えに共感した」ことが今回のモデルハウスにつながった。

i-works projectは1.0から5.0まで五つの基本プランがあるが、同モデルハウスは1.0をベースにしている。1.0は名作といわれる住宅に多く採用されている四間角のプラン。2階建の3LDKで延床面積は98.32㎡。プラスして小屋裏には13.22㎡のロフトがあり、ファミリーがゆったりと暮らせる広さを確保している。

1階にLDKと水回りを集約し、2階は3部屋とトイレ。リビングの上部は吹き抜けで、耐震性向上と窓拭きなどメンテナンスを容易にするキャットウォークを設けた。

i-works projectに用いられる材料や素材は伊礼氏が厳選したものを標準で揃えているが、今回は道産木材の積極的な活用を目指し、外壁を道南杉にするなど変更を加えた。

断熱材も北海道仕様で、外壁は高性能グラスウール24K120㎜充填とフェノールフォーム60㎜外張り、屋根は吹き込みグラスウール210㎜とフェノールフォーム90㎜外張り、基礎は外側にポリウレタンフォーム板100㎜、内側に押出法ポリスチレンフォーム50㎜とした。

熱源はリンナイ(名古屋市)のハイブリッド給湯暖房システムと薪ストーブの組み合わせ。床下に放熱器、1階と2階の間の懐に床暖房用パイピングを施工している。屋根には太陽光発電パネル5.47kWを搭載。冷房はルームエアコン1台を小屋裏に設置した。

辻野社長は、同モデルハウスを契機に「会社全体の設計力を向上していきたい」とコメントした。

 

70人以上が見学に訪れた

注文から提案型へ

見学会の後、伊礼氏の講演会が札幌市内で開かれた。伊礼氏は20年以上前から「設計の標準化」に取り組んでおり、i-works projectが生まれた経緯について語った。 最初は階段や浴室、洗面所、玄関などの部位を標準化し、それが軌道に乗ったところで「住宅の丸ごと標準化」に取り組んだという。

2012年にi-works projectをスタートし、工務店と協業する中でプランやディテール、性能をブラッシュアップしてきた。現在は1・0から5・0の五つの基本プランを提供している。

伊礼氏は辻野建設工業のi-worksモデルハウスについても触れ、「地元の工務店がやりやすい施工方法や素材を取り入れながら作っていくことをご当地バージョンと呼び、それも楽しい」と話した。

これからの工務店は施主の要望を聞いて建てる注文住宅から、工務店が自社の良いと思う住宅を標準化して勧める提案型住宅に切り替えていかないとコストや品質などがカバーできなくなるのではと提起し、「工務店もプロとしてどんどん住宅を提案したらいいと思う」と会場に呼びかけた。

 

講演する伊礼氏