元気な工務店

10年連続「ファースの家」着工棟数1位

南原工務店は1979年に南原工営として創業。2006年に現在の社名となった。09年に2代目の現社長・南原考之氏が経営を引き継ぎ、積極的な事業展開で成長を続けている。今年1月に札幌支店を本社、これまでの本社を岩見沢本社として、さらに幅広いエリアで集客のすそ野を拡大。現在は新築戸建注文住宅の全棟をファース工法で施工しており、14年から10年連続でファースの家の着工棟数1位を維持している。

創業当時の南原工営という社名は、工務の工と営繕の営。新築住宅を主体としつつ、小さなリフォームの仕事を積み重ねて資金を回すような、ごく一般的な地域工務店のスタイルだった。現社長の南原氏は「社長になる前から経営の部分を見ていたが、売上が1億円でも1億5000万円でも利益はあまり変わらない会社だった」と振り返る。

 

岩見沢本社の社屋

もう一本の新しい柱

南原氏は93年に家業に入り、経営改善に向けて試行錯誤してきた。「先代の父と同じことをやるのではなく、父がまだ元気で余裕があるうちにもう一本、別の柱を立てなければと思っていた」という。その一つが、断熱・気密性能と換気システムに特長を持つ「ファースの家」だった。

 

戸建注文住宅は全棟ファースの家

 

同社がファースに加盟したのは96年。当初は顧客の希望に応じてファースの家も、それ以外の家も施工していたが、会社の新しい柱として本格的にファースの家に特化していった。

ファースの研修でコンサルタントの講師から営業戦略を学び、原価管理のシステムを導入して、品質を安定させつつコストを抑え、利益率を向上させた。増えた利益の一部を広告宣伝費に回せるようになり、年々ファースの家の受注棟数が増えていった。

「会社にとって大きな転機だった。その少し後からファースの家の年間着工棟数1位になり、現在まで10年間トップを守り続けている」と南原氏。社長就任時にはすでに自身の柱を確立していたため、いつ事業を引き継いでも支障がない状態だった。

高断熱・高気密のファース工法に加え、構造の面でも特色を打ち出すため、パナソニックビルダーズグループに加盟し、テクノストラクチャー工法も取り入れた。札幌市内の土地不足を見据え、同工法による狭小地向けの3階建住宅の商品を企画するなど、常に貪欲な姿勢で次の一手を追求し続ける。

不動産業の相乗効果

「やれることは全部やる」そして「成功するまで継続する」が南原氏の基本スタンス。07年には新しい会社を立ち上げ、不動産賃貸仲介のフランチャイズに加盟した。不動産事業を始めたことで土地の情報も集まるようになり、工務店の事業にもさまざまな好影響が生まれた。

古い空き家を買い取り、新築同様にリノベーションして販売することもできる。更地にして分譲することもできる。もちろん自社物件として貸すこともできるし、買い手が見つかればすぐに売却することも可能だ。土地の情報を持っていることで、店舗など非住宅の相談も増えたという。「不動産業は展開が幅広い。土地探しから設計施工まで全部ワンストップでできるのは大きな強み」。

それだけではなく、不動産会社に入ってきた社員が工務店の営業として活躍するなど、人材確保の面でも追い風となっている。宅建業の免許を持っている工務店は少なくないが、登録しているだけでは活用の機会は限られる。

「新しいことを始めるにはお金もかかるが、やってみなければわからないことがある。だから自分で営業も回るし、自分でYouTubeの動画を撮影・編集して、4年間で420本投稿している。そこから問い合わせが来ることもあるし、続けることが大事」と南原氏は強調する。

 

吹き抜けが開放的なリビング

継続が価値を高める

「全部やる」は会社としての新しい試みの話で、顧客からの要望を聞いて「なんでもやる」という意味ではない。現在、同社が施工する新築戸建住宅は全棟ファースの家で、それ以外の相談があっても引き受けることはない。「なんでもできる」は「特徴がない」ことと同義。ぶれずに我慢してファースの家を建て続けることがブランディングにつながる。

「ファースの家を気に入ってくれたけど、予算が合わなくて結局他社に行ってしまったでは意味がない。南原工務店のファースの家以外ありえないと思わせれば競合も予算も関係ない」と、南原氏はこれまで作り上げてきたブランディングの価値を強調する。

 

冬の暖房費を削減する高気密高断熱住宅