北方型住宅のこと

北方型住宅ZEROが始動

道は1月31日、2022年度第2回目となる民間住宅施策推進会議(座長・鈴木大隆道立総合研究機構理事)をTKP札幌カンファレンスセンターで開いた。北方型住宅の基準にさまざまな脱炭素化の取組みを組み合わせた「北方型住宅ZERO」の概要を固め、制度の運用をスタート。ゼロカーボン北海道の実現に向けた今後の普及推進の方策や、今後も引き続き検討していく課題などについて、学識経験者や住宅・建築関係の有識者、関連団体の代表者らが幅広く意見を交わした。

年間2tのCO2排出量削減

北方型住宅ZEROは、北方型住宅2020をベースとして、北海道の地域特性に合ったさまざまな脱炭素化の取組みを組み合わせることにより、一般的な省エネ基準レベルの住宅と比べて1戸あたり年間2tのCO2排出量削減を目指す住宅。
各取組みのCO2削減効果をポイントで表し、複数の取組みを組み合わせた合計が10ポイントに達すると北方型住宅ZEROとして認定される仕組み。今後、きた住まいるサポートシステムへの登録や、住宅ラベリングシートの発行もできるように整備する。

壁面太陽光を評価

脱炭素化の取組みは、太陽光発電や蓄電池など再生可能エネルギーの活用のほか、外皮性能の強化、高効率設備の採用、通風やひさしなどの工夫、地域資源の活用などのメニューがあり、取り組みやすいものを選択できる。
例えば太陽光発電は発電容量によってポイントが設定されており、1kW以下なら3ポイント、6kW超なら6ポイント(多雪区域外は1ポイント加算)と幅がある(表参照)。屋根のほか壁面設置も選択でき、屋根と壁面の併用もできる。
太陽光発電と併せて蓄電池や時間帯選択式ヒートポンプ給湯器を導入すると5ポイント。そのほか、太陽熱給湯器の設置で5ポイント、地中熱ヒートポンプ暖房機の設置で2ポイントなど、再生可能エネルギーだけでも多様な選択肢がある。
補助暖房として薪や木質ペレットなどの木質バイオマスを活用した暖房機器を設置することでも1ポイントが得られる。北海道の気候風土に適したエネルギー利用として、多くの委員から評価の引き上げを望む声が上がったが、今後の国のJIS化の検討状況なども考慮しながら随時見直しを行っていく。

再エネ以外も多彩に

外皮性能の強化は、国の性能表示制度における断熱等性能等級の上位等級6、7に合わせて、UA値0.28(W/㎡K)以下で3ポイント、0.20以下で5ポイントが設定されている。
高効率設備については、第一種熱交換換気システムの採用で3ポイント、パッシブ換気システムの採用で1ポイントを設定。地域資源の活用は、主な構造材に道産木材などを使用することで2ポイントが得られる。
これらのほか、現在は定量的な評価を行うことが難しいため項目に含まれていないが、今後、評価手法を検討していくものとして、敷地内の緑化や雪処理対策、木質外装材の採用、節水対策、スカート断熱工法の採用、設計の工夫による効率的な空間の創出、HEMSなどのエネルギー管理システムの導入などが提言されており、将来的にポイント項目に加わる可能性もある。

支援ツールで普及へ

各取組みの組み合わせにより、どれだけのCO2削減効果が得られるか、また、消費エネルギーの削減によってどのようなコストメリットがあるかを消費者に説明するためのゼロカーボン効果支援ツールを作成し、普及を後押ししていく予定。 さらに今後は脱炭素化の取組みに積極的な市町村とも連携し、それぞれの特性を踏まえた地域に適したモデルの展開を図っていく。
2月14日に札幌、同27日(月)に旭川で北方型住宅技術講習会を開催。工務店や設計事務所などの技術者、行政職員、住宅建築関係団体の職員などを対象に、北方型住宅ZEROに関する技術情報の周知も行っていく。
北方型住宅ZEROの普及促進を目的としたゼロカーボンモデル団地を南幌町で事業化する予定で、3月には事業者の募集を開始する。